篠山市川原 住吉神社 水無月祭

篠山市福住地区で毎年行われている『水無月祭』。  

私も氏子として毎年参加していて、ブログにもアップしているんですが、意外と知らないことが多いんですよね。   ということで、私なりに調べてみました。

◎水無月祭

●概要

水無月祭は毎年7月、兵庫県篠山市の東端、福住地区にある住吉神社で行われる祭礼です。

5台の山車が宮入し「打込囃(うちこみばやし)」を奉納するのがこの祭りの見所です。

●時期    

毎年7月の最後の土曜日開催されます。  

以前は7月30日(宵宮)、31日(本宮)と決まっていましたが、20年ほど前に曳き手不足の為、7月の最終土曜日(宵宮)・日曜日(本宮)に開催されるようになり、現在では7月の最終土曜日(本宮)のみ山車が出るようになりました。  

●場所    

篠山市川原(福住地区) 住吉神社  

●住吉神社とは?  

・歴史    

1081年(永保元年)    丹波国司 大江匡房が堺(現大阪市)の住吉大社から分霊を勧請。

1577年(天正5年)    明智光秀の丹波攻略により全焼。

1648~52年(慶安年間)   松平康信により再建。    

1662年(寛文2年)    松平康信が鐘楼を寄進。     

1856年(安政3年)    本殿消失     

1873年(明治5年)    再建完成     

1966年(昭和41年)   重森三玲氏 庭園作。    

1968年(昭和43年)   戦時中に供出された鐘楼を新しく寄進。  

・祭神    

上筒男(かみつつお)命、中筒男(なかつつお)命、底筒男(そこつつお)命、神功(じんぐう)皇后    

各地の住吉神社は総てこの神々を祀っているようです。    

それぞれ水に関係し、主に海上守護の霊神として崇められる神々ですが、川筋に出来た村の繁栄と、五穀豊穣を祈って祀られたと思われます。  また、和歌の神としても知られ、大江匡房が歌人でもあったことからお祀りしたとも言われています。  

・鐘楼    

境内には鐘楼があります。これは神仏混合の名残で、神宮寺であった「清光寺」のものです。  

総欅造り、四脚単層、本瓦葺の堂々とした作りとなっており、市指定の文化財となっています。

・住之江の庭    

社務所(元神宮寺の書院)の表と裏に庭園があります。  

表庭は七五三的な配石と植栽が調和した庭、裏庭は枯山水の石庭で青石と白川砂で海を表した「住之江の庭」と呼ばれる庭となっています。  

●水無月祭り神事について  

・本殿祭(朝)  

本宮、御旅に先立ち本殿祭を行います。  

・御旅(朝)  

御旅とは年に一度の例祭に氏神様が地区内を巡行されることです。  

神輿を中心に、楯・矛などの威儀物を棒持して行列を組み、地区を巡行しながら御旅所に向かいます。御旅所にて神幸所祭を行い、豊作と繁栄を祈願します。  

・山車巡行~宮入り(夕方)  

夕方17時ごろ、各地区を出発した山車は、地区を巡行しながら神社手前に集まり、5台の山車が1台ずつ順に宮入します。 その際、本殿の前で地区の若い衆が山車を担いで前輪を上げ、山車を引き回します。  

・打込囃奉納(夜)  

水無月祭りの最大の特徴で、宮入りする5地区のうち、現在は最大4地区が打込囃(うちこみばやし)を奉納します。     

●山車について    

水無月祭りの氏子は、本明谷、川原、福住上、福住中、福住下、ウト木、安田の7地区で、そのうち、元々山車の無い安田、老朽化・後継者不足で解体されたウト木の山車以外の5地区から出ています。    

ちなみに「山車」を一般的には「だし」と読みますが、篠山地方では主に「やま」と呼びます。    その形は、直径1.5m程の車輪が4輪ついていること、前後にそれぞれ2本の舁き棒(かきぼう)があり、それに横棒を渡して舁く(担ぐ)ことが出来ます。 巡行の際は前後に人員を配置し、引っ張って(押して)進みますが、基本的に直進しか出来ません。 緩やかなカーブは前を引っ張る若い衆が、一方に体重をかけることで少しずつ曲がりますが、急なカーブや交差点では、前方を担ぎ上げウィリーさせた状態で方向転換します。    

昼間は提灯を枠ごと外して巡行(最初からつけている地区もあります)し、夕方に提灯枠を設置、灯を灯して宮入に備えます。    

    

各地区の山車をご紹介します。  

山車の写真はこちら  ←昨年の水無月祭より    

・鳳凰山(ほうおうざん) 本明谷   

以前は舟型の山車だったそうですが、明治初期に現在の山車に更新されました。   

見送りは鳳凰と東方朔をあしらったもので、市指定の文化財となっています。    

・菊水山(きくすいざん) 川原   

現存する水無月祭りの山車の中では唯一の舟山。   

巡行中の囃子は通常、鐘、太鼓、笛によるものですが、菊水山だけは太鼓と半鐘を使用しておりその音色が境内に響き渡ります。   

見送りは浦島太郎で、祭神が海神であることを表しています。     

・鶴壽山(つるじゅざん) 福住上   

見送りは2種類(鶴と龍)あり、現在は龍が使用されています。   

これは住吉神社の祭神をあらわしているとも言われています。   

提灯には鶴が描かれています。    

・獅子王山(ししおうざん) 福住中   

見送りは唐獅子。金糸、銀糸で刺繍された豪華なものです。   

提灯には蟹牡丹が描かれています。    

・亀甲山(きっこうざん) 福住下   

見送りは浦島太郎。菊水山と重複しますが、こちらの主役は亀です。   

提灯にも亀が描かれています。    

・竜水山(りゅうすいざん) ウト木   

唐破風造りの屋根を持つ特徴ある舟山。   

1970年頃、老朽化と後継者不足のため解体されました。         

●打込囃とは  

「打込囃(うちこみばやし)」とは各地区ごとに三味線、胡弓、太鼓、大鼓、小鼓、篠笛などを用いて楽曲を奉納する神事で、篠山市の無形民俗文化財に指定されています。  

以前は宵宮が終わったあと、各集落に帰ってから演奏したりもしていましたが、現在では本宮でのみ奉納されています。  

また、従来は山車の上で演奏していましたが、現在では山車の上で演奏する地区と住吉神社の拝殿で演奏する地区があります。      

打込囃の創始者は、江戸末期に大阪の文楽座員であった遠山宗九朗満直翁が中心となり、六台の山車それぞれに打込囃を作詞作曲。 天保年間(1830~43年)の頃から山車の巡行に取り入れられたとされています。 一時、後継者不足によりテープによる奉納も行われていましたが、各地区の若い衆が中心となり「保存会」を設立。 現在では生演奏を再開する地区が多くなってきています。

   

今年の祭りは7月31日。

訳あって今年は参加は出来ませんが、久しぶりに外から祭りを楽しみたいと思います。


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兵庫県丹波篠山市の曳山祭りを中心に、祭りに関することを投稿します。 木工模型も少しずつ…。

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